転職の理由
「間違っても言われない」
前職で鈴木貴登が向き合っていたのは、筑波の工場で進む大規模なSAP導入プロジェクトだった。 担当は、基本設計を中心とした上流工程。SAPの設定内容をスプレッドシートで管理し、現場と共有する。すでに決められた仕組みの中で、必要な情報を整理して落とし込むのが仕事だった。
「自分でコードを書くことは、一切なかったんです」
その鈴木が現在、開発リーダーを務めているのが、自社プロダクト「Propagate AI」だ。顧客サイトをAIで解析し、データを可視化し、次の提案へつなげる。入社から、まだ8ヶ月。決められた仕組みを扱っていたエンジニアは、いま、複数のメンバーを率いながら、AIに何を任せ、どんな仕組みをつくるかを決める側にいる。 前職で鈴木が感じていたのは、コードを書かないことへの焦りだけではなかった。自分の仕事が正しかったのか、何が足りなかったのか。その手応えが返ってこないことへの違和感だった。
「派遣先では、お客様みたいな立場でした。間違っても言われないし、いいことをしても褒められない。自社からフィードバックをもらう機会も、ほとんどありませんでした」
大きな問題を起こさなければ仕事は進む。けれど、自分の何が変わり、何ができるようになったのかは分からない。その環境から出るきっかけになったのが、プロパゲートの面接だった。 「30分か1時間の面接で、松岡さんも当時の人事の方も、率直にフィードバックをくれたんです。ここまで言ってもらえる環境なら、成長できると思いました」
入社後、実際に待っていたのは、手順をすべて教えてもらってから動く環境ではなかった。 「松岡さんは、できる・できないではなく、とりあえず任せてくれる。やらなければいけない状況になるし、どうすればできるかを考える環境がある。やりたいと思っているなら、できるようになるんです」
鈴木が選んだのは、失敗しないように守られる場所ではなく、できるようになる前から任される場所だった。





